2024/10/05 執筆
近代ヨーロッパ(18世紀末~20世紀前半/1700年(?) ~1945年くらい/江戸時代~昭和くらいまで)について書きたいけど何から調べればいいか分からないと思っていませんか?
そんな悩みを抱えている方の参考になればと思い、私が作品を書いた時に調べたことをまとめてみました。
作品にどのように活かせるか考えたことも書いてみたので、少しでも創作活動をする人の参考に、また創作をする予定がない人も豆知識として楽しんでいただければと思います。
私自身が小説『アコニの花束』を書く際に調べたことをまとめています。
本記事の掲載単語は作品登場順となっていますが、目次から気になる単語へ飛ぶことができますのでご活用下さい。
※筆者は、付け焼き刃で調べた知識をまとめています。鵜呑みにせず、あくまで調べるきっかけとして使っていただけたらと思います。
※筆者は、創作活動は自由であるべきだと考えています。情報に捕らわれることなく、リアリティを足したい時の手助けとして使ってください。
果物ナイフ
果物ナイフはキッチンで使われる様々なナイフの中で小ぶりなものです。
同じく果物を切る目的で使われるペティナイフというものがあるのですが、それに比べると切れ味は劣るようです。
ペティナイフは肉や魚も切ることができ、小ぶりで切れ味が鋭いのが特徴です。よく切れるので果物の飾り切りなど細かい作業も出来るという長所があります。
対して、フルーツナイフの方はどうかというと、ペティナイフに比べて小さく、軽いので人によってはそっちのほうが気軽に使えるかもしれません。
と、ここまで書いてきましたが
実を言うと果物ナイフとペティナイフ、ほとんど混同しているような説明が載っている記事もいくつかありました。正直よく分かりません。
あと、どちらのナイフもサイズは色々と種類があるようで、一口に言えるものではないようです。私の家では小さいナイフのことは果物ナイフと読んでいたので、まぁ物語の中でも包丁より小さいもの、という程度の意味で用いるのが妥当ではないでしょうか。
正直、家庭によって呼び方が違う可能性もあると思います。
料理人の話を書くならもっとちゃんと調べてきちんと呼び分けたほうが良いかもしれませんね。
ちなみに、包丁のことを英語で言うとキッチンナイフ、フランス語だとクトー(たぶんそんな感じの発音)果物ナイフは英語でフルーツナイフ、フランス語はよく分からないです。
ナイフの素材に関しては
石→青銅(紀元前800年頃~紀元前500年頃?)→鉄(~17世紀)→シルバー(16~18世紀)→ステンレス鋼(1912年~2024年現在)
みたいな感じ。
石や青銅の時代は文明の発達した場所によって違うので、今回ヨーロッパだけ書きました。
“オシャレな模様の入ったナイフ”を描きたいなら、シルバー製が良いかも知れません。加工がしやすいですし、実際この時代のシルバーナイフは色々な模様が施されていたようです。
ただし、贈り物としてナイフを登場させる場合は気をつけてください。
西洋では贈った側と贈られた側の縁が切れるという意味があったりします。どうしても贈りたい場合は小銭と一緒にナイフを渡して、渡したあと小銭だけ返してもらいましょう。
そうすると、ナイフを買ったという体になり、迷信を防いだことになるらしいです。
フルール・ド・セル
端的に言うと、すっっっごい高い塩です。
フランス語で“塩の花”という意味だそうで、なんだか素敵ですよね。
なんだか素敵だから花の変わりに食いしん坊な人に贈るという設定で登場させたのですが、高くて手に入れづらくて、高級料理には入っているらしいフランス産の塩、ということは分かっています。
そして、どうやらフルール・ド・セルが取れるゲランドというところでは千年前から塩田があるようなので、だいたい11世紀始めから塩を取っていたと考えていいでしょう。
つまり中世ヨーロッパ、近世ヨーロッパ、近代ヨーロッパではフルール・ド・セルの名前を出しても大丈夫。
ただ、中世ヨーロッパくらいですと、その時代でどこまでこの塩が有名だったのか分かりません。近代ヨーロッパなら安心して出しても良いのではないでしょうか。
「塩田 フランス」「ゲランドの塩」と検索すると少し分かりやすい情報が出てきます。
純潔、近代の乙女
純潔とは清らかであることを指しますが、そこから派生して性行為の経験がない女性を指すこともあります。今回は後者の説明をします。
キーワードとして「純潔」「乙女」「貞操」「処女」などがあげられると思います。
性行為の有無を話す時によく出てくる言葉としては「貞操観念」というものですね。貞操観念に関しては国、時代、また性別によっても大きく変わりますので、非常にややこしい話ではありますが、時代物の恋愛を書くなら抑えておくべきポイントでしょう。
昔の日本は貞操観念がかなりゆるかったという話がありますが、西洋ではそれなりに厳しかったようです。庶民と貴族では感覚の違いがあるかと思いますが、ヨーロッパはキリスト教が浸透していたので、そういった倫理的な感覚も基本的にはキリスト教に基づいていたはずです。
キリスト教的には結婚前に性的な経験をしていることは良くないとされています。ただし、結婚後は愛を深める行為として認められています。
しかし結婚前に性行為をしていることが知られてしまうと、神に背いているふしだらな女だということで、例えそれが、女性が望んだことではなく強要された場合でも咎められたようです。
キリスト教の教えとしては男女問わず良くないとされているのですが(「出エジプト記20:14」を参照のこと)実際には女性のみ糾弾されることもあったようです。
また、中世ヨーロッパではかなり厳しかったようですが、近代に近づくにつれて女性解放運動などが盛んになり、自由恋愛の向きが強くなっていったようです。
純潔に関して細かく考えようと思ったら、当時の結婚についてなども調べてみるとより分かりやすいと思います。
ちなみに、近世ヨーロッパでの結婚の平均年齢は
貴族の場合は女性18、男性21。
庶民の場合は女性25、男性27くらいだったようです。
「フランス 19世紀 結婚適齢期」と検索すると分かりやすいサイトや論文がヒットするのでオススメです。
結婚や離婚について、財産分与について、宗教による違い、同性婚についてなど細かなことが書かれた論文があったので貼っておきます。少し長めなので気合のある人は読んでみてください。
ブトリフィリップ(長井、前田訳)2020『結婚、離婚、「みんなのための結婚」18 〜 21 世紀のフランスにおける婚姻形態の変化』『日仏歴史学会会報』35 巻 p. 35-62
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bsfjsh/35/0/35_35/_article/-char/ja。
(↑リンク押した先のページで、画面右横にあるでっかい「PDFをダウンロード(1517K)」で読むことが出来ます)
さて、今回のブログはこのへんで終わりになります。
皆様の調べ物は捗ったでしょうか?
「参考になった!」「実際にどんなふうにこの情報を利用しているか見てみたい!」
という方は、ぜひ当ブログに私の書いた作品が載っておりますのでご覧ください。
近代ヨーロッパの調べ物についてはまだまだ続きますので、次の記事でお会いしましょう。
それではまた
次回掲載予定の記事内容
治安
ヨーロッパの雨と日本の雨
今回の調べ物で書かれた作品(センシティブな内容が含まれますご注意下さい)
https://kingyokirakira.com/2024/11/29/akoninohanataba/
その他の筆者の活動をまとめたリットリンク
https://lit.link/kingyohirahira
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