2024/10/05 執筆
近代ヨーロッパ(18世紀末~20世紀前半/1700年(?) ~1945年くらい/江戸時代~昭和くらいまで)について書きたいけど何から調べればいいか分からないと思っていませんか?
そんな悩みを抱えている方の参考になればと思い、私が作品を書いた時に調べたことをまとめてみました。
作品にどのように活かせるか考えたことも書いてみたので、少しでも創作活動をする人の参考に、また創作をする予定がない人も豆知識として楽しんでいただければと思います。
私自身が小説『アコニの花束』を書く際に調べたことをまとめています。
本記事の掲載単語は作品登場順となっていますが、目次から気になる単語へ飛ぶことができますのでご活用下さい。
※筆者は、付け焼き刃で調べた知識をまとめています。鵜呑みにせず、あくまで調べるきっかけとして使っていただけたらと思います。
※筆者は、創作活動は自由であるべきだと考えています。情報に捕らわれることなく、リアリティを足したい時の手助けとして使ってください。
治安
この記事を読んでいる方の多くは日本語話者、日本人だと思うのですが(海外の方いらっしゃったら読んで下さってありがとうございます)、その中で更に海外に行った経験がない人もいると思います。
私も今のところ海外に行く予定はありません。外国語しゃべれないので。
そんな人でも、海外を舞台にした作品は書きたいです。
そういった時に気をつけなければいけないのは、銃社会であることはもちろん、子供の一人歩きなどありえないということです。
日本テレビ系列で放送されていた『はじめてのおつかい』という番組がありますが、海外ではありえません。試しに「はじめてのおつかい 海外」で検索すると海外の方が驚いている記事がヒットすると思います(日本でも、時代によっては同じことが言えるかもしれません)。
他にも、海外経験のあるYoutuberの方や、日本語が堪能な海外の方が実際の日常を話している動画もあるので、参考にするとイメージが湧きやすいかもしれません。
それから、銃社会であると書きましたが銃の所持が許可されているからといって誰でもかれでも持っているわけではありません。
射撃場に入るために年齢や身長の制限がありますし、アメリカでは州によって所持率も変わってくるようです。国によっても所持率は変わりますし、モデルにしようとしている国の銃の所持率を検索してみるといいでしょう。
さて、では近代ヨーロッパの治安はどうだったのか? ということです。
農村と都市部ではかなり差があったようで、調べてみると農村の研究、都市部の研究と分かれていることも多いようです。特に近代ヨーロッパに関しては、両者の比較というよりも別々の研究というのが多いようでした。
見つけた論文の中で、治安というより全体の壮観といった目的のものですが、イメージを具体的にするためには助かりそうなものを見つけたので貼っておきます。
長めですので覚悟して読んでください。
馬場哲2019「ヨーロッパ近現代史における都市と農村」社会経済史学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sehs/85/1/85_3/_pdf/-char/ja。
実を言うと、あまり治安についての情報は得られなかったのです。しかし現在のヨーロッパより良いということは無いはずです。
それから、近代ヨーロッパではなくもう少し前の近世ヨーロッパの話にはなりますが、治安維持に関する論文があったのでこちらも貼っておきます。
正本忍2015「近世フランスの農村における治安維持:マレショーセ研究に寄せて」関学西洋史論集第38号
https://kwansei.repo.nii.ac.jp/record/16452/files/38-2.pdf。
本論文は近世フランスでマレショーセと呼ばれるいわゆる警察組織がどのように治安を守ったのか、当時はどのような事件がおきていたのかを、実例をあげてまとめられています。
ただし、マレショーセは絶対王政であった18世紀末までのフランスの話であり、市民革命によって近代ヨーロッパと呼ばれる時代に変わっていくにあたって改革がなされていくため、近代ヨーロッパを舞台にするならマレショーセの名前を出すべきではないでしょう。
ただ、ファンタジー作品を書くならマレショーセの組織の仕組みは参考にできるかも知れませんね。
ヨーロッパの雨と日本の雨
以前の記事で、ヨーロッパは日本よりも空気が乾燥しているため、押し花を作る過程で乾燥させる期間が変わるということを書きましたが、実際どのように天候が異なるのでしょうか。
知りたい国の降水量を調べるのもいいですが、私は海外在住の日本人の方が書いているブログを参考にしています。
グラフや数字を見るより分かりやすいですからね。ただ、その方がどの地域に住んでいるのかによって、思っていたのと違う情報を得てしまうこともあります。
それから、そこが何気候の地域なのか調べてみるのは良いかも知れません。温帯湿潤気候、西岸海洋性気候、地中海性気候などがヨーロッパの気候区分に当てはまるようですね。
ヨーロッパ全体で見ると、夏は雨が少なく、梅雨はないようです。かわりに秋から冬にかけて雨季と呼ばれ雨が増えます。
(脱線:療養中だった音楽家のフレデリック・ショパンは雨季によって体調を崩しながら、雨の音の中で作曲したのが「雨だれ」と呼ばれる曲です。最初は繊細で明るい曲調ですが少しずつ重みが足されていく、雨の情景と心情を映し出したような美しい曲です。物語のイメージを膨らませるために雨にまつわる色々な曲を聞いてみるのも良いかも知れませんね)
また、外国の方はあまり傘をささない、というような話を聞いたことがあるかもしれません。
実際に暮らしている方から見てもやはり傘はささないようですが、防水のパーカーなどのフードで凌ぐようです。
というのも日本と違ってザァザァ振るというより霧のような雨が多いためあまり傘を指しても意味が無いのでしょうね。それに、先述した通り乾燥していますから、濡れてもすぐ乾くので気にならないのでしょう。
さて、では気侯に関してならそんなに歴史的に変化がないだろうし現代の情報を集めれば大丈夫だろう。と思ってしまいそうになりますよね。
確かに人間の作る法律や文明に比べれば変化は少ないかと思いますが、調べてみると意外とその時期は例外的に寒い時期だったということもあるようです。
「色んな可能性が有りすぎて調べるのもめんどうくさいし気侯くらいもうどうでもいいや」
と思うかも知れませんが、気侯は案外人々の暮らしに大きな影響を与えています。
文化的なちがい、国民の性格的なものにも影響を与えるとされることもあります。
知らなくても物語はかけますが、知っているとエピソードの幅が広がってより面白くなるかもしれません。
近世ヨーロッパの気候と歴史への影響について書かれた文章があったので参考までに貼っておきますね。
永田諒一2009「気候は歴史学研究の分析要因となりうるか?──ヨーロッパ近世の小氷期の場合──」
https://repository.kulib.kyotou.ac.jp/dspace/bitstream/2433/240053/1/shirin_092_1_214.pdf。
具体例や数字、グラフなどが載せられていて、分かりやすいような難しいような感じなので、無理に理解しようとせず流し読みしながら気になる単語が出てきたらその周辺だけしっかり読んでみる、というふうに活用するのが良いかも知れません。
魔女狩りの発生率などもグラフになっていて、ここらへんは気になる人も多いのでは無いでしょうか(18枚目、ページ数は231)。
流し読みが得意でない方は最後の2ページ(25、26枚目、ページ数は238-239)の「まとめと展望」だけでも読んでみると気候によっておこる影響が理解しやすいと思います。
さて、今回のブログはこの辺で終わりになります。
皆様の調べ物は捗ったでしょうか?
「参考になった!」「実際にどんなふうにこの情報を利用しているか見てみたい!」
という方は、ぜひ当ブログに私の書いた作品が載っておりますのでご覧ください。
近代ヨーロッパの調べ物についてはまだまだ続きますので、次の記事でお会いしましょう。
それではまた
次回掲載予定の記事内容
トリカブト
万年筆っていつからあるの?
今回の調べ物で書かれた作品(センシティブな内容が含まれますご注意下さい)
https://kingyokirakira.com/2024/11/29/akoninohanataba/
その他の筆者の活動をまとめたリットリンク
https://lit.link/kingyohirahira
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