2024/10/05 執筆
近代ヨーロッパ(18世紀末~20世紀前半/1700年(?) ~1945年くらい/江戸時代~昭和くらいまで)について書きたいけど何に気をつけたらいいか分からないと思っていませんか?
そんな悩みを抱えている方の参考になればと思い、私が作品を書いた時に調べたことをまとめてみました。
私自身が小説『アコニの花束』を書く際に、近代ヨーロッパについての知識が必要だと思ったのですが、私はちっとも詳しくないので思いつく限りのことを調べていきました。
その際に知ったことをまとめています。
また、作品にどのように活かせるか考えたことも書いてみたので、少しでも創作活動をする人の参考に、また創作をしない人も豆知識として楽しんでいただければと思います。
※筆者は、付け焼き刃で調べた知識をまとめています。鵜呑みにせず、あくまで調べるきっかけとして使っていただけたらと思います。
※筆者は、創作活動は自由であるべきだと考えています。情報に捕らわれることなく、リアリティを足したい時の手助けとして使ってください。
童話
日本でよく知られているグリム童話、イソップ物語などは海外から伝わってきたもので、ヨーロッパの人にとっても親しみのあるお話ですが、ではどの話がいつできたのか? という問題がありますね。
そもそもよく知られている童話というのは昔からある民話、それまで口伝で伝わっていたものを誰かが改めて集めて編集したという形が多いようです。
グリム童話も、グリム兄弟が作ったお話ではなく、ドイツに昔からあるお話をグリム兄弟が集めて出版したのです。
また、色々な国の昔話を読んでいると気づくのですが、なぜか似たような昔話が各国にあったりします。これは、元がどこかにあって国を渡って伝わってくる場合と、そもそも童話とは教訓的な意味合いが含まれる場合も多いため、人として子供に教えることはどの国でも似ているのでしょうか。
はっきりとした理由は分かりませんが、今知られている童話を近代ヨーロッパもしくはそれ以前の時代設定の物語に出しても、それほど違和感はないように思います。
ただ、やっかいなのは動物です。国によって悪者になる動物というのは少しずつ違うのです。
ストーリーのあらましであれば問題ありませんが、動物や植物を出す場合は作っている作品の地域や時代にあっているか調べてみたほうがいいかもしれません。それから具体的なタイトルを出す場合は、その時代にその本が出版されていたか調べる必要があるでしょう。
たとえば
イソップ物語は古代ギリシアでイソップさんが作ったとされていますが(本当に作ったかの実証は出来ていない)、活版印刷が出来るようになった1450年(15世紀)ごろ出版されるようになりました。
ちなみに日本にやってきたのは1593年、イエズス会の宣教師がイエズス会の学校で教えたようです。
グリム童話は1812年に出版されていますが、あまり売れず、有名になったのは1823年。
近代ヨーロッパとしては途中から登場したということになるでしょう。ただし先述した通り昔話を編集したものなので、グリム童話の中に描かれているひとつひとつの話はもっと昔から知られていたはずです。
さて、ここまで読んできてお気づきの方もいるかもしれませんが、過去の時代を舞台として物語を書き、さらにその時代において昔から伝わっていたもの、を事実に基づいて書くのはかなりやっかいです。なぜならどの童話がどの程度、どこの地域で知られていたか今の私達が知るのはむずかしいからです。
そんな時、創作をするものにはてっとり早い方法があります。
自分で童話を作ってしまいましょう。
そこまでしてしまえば誰も文句は言えません(著作権も関係ないですからね)。いきなり作るのが難しければ有名な童話を模倣しても良いでしょう。どうせ色んな国に似たような民話がありますから。たぶん大丈夫。
それと、新しく昔話を作る(なんて矛盾した日本語)のに参考になりそうなものとして、神話を調べても良いかも知れません。
完全な子供向け童話を作りたいならグリム童話よろしくその国の動物を調べたほうがいいと思いますが、もう少し大きい少年少女に向けた物語なら、神話の中に登場する架空の生き物を出すとファンタジックで素敵な物語が出来そうです。
どうしても特定の昔話をタイトル、内容含めて引用したい場合は、舞台としている国と時代にその作品があったのかどうかを調べて書くと良いと思います。多くは著作権が切れているはずですから、そういった意味では使いやすいでしょう。
復讐
日本では復讐(仇討ち)が奨励されていた時代もありますが、明治6年に禁止する法律が出されています。
ヨーロッパではどうでしょうか。
残念ながら明確な法律として禁止しているものを見つけることは出来なかったのですが、そもそもヨーロッパの宗教観では、復讐行為は良くないものとされています。
中世にキリスト教の教えが広まり、復讐というのは神が行うもので、人間の裁量で行うものでは無いという考え方です。キリスト教徒でない方からすると復讐を神様が? と思うかも知れませんが、簡単に言うと天罰のことでしょうね。
罰を与えるべき者には神がしっかりと与えてくれるので、人間はそれを信じて待つ、という考え方です。
中世ヨーロッパ以降の、近世ヨーロッパ、近代ヨーロッパにおいても同じ考え方だったのではないでしょうか。
中世ヨーロッパの時代だと、まだ「フェーデ」と言って復讐をすることがありましたが、現代に近づくにつれて、復讐行為を否定、禁止する動きは強くなり、19世紀後半には法律も明確になり、行われなくなったようです。
復讐に関する詳しい法律や経緯が調べたい時は、
日本のことなら「仇討ち」、ヨーロッパなら「決闘」と検索すると調べやすいかもしれません。「報復」なども良いですね。
復讐で検索すると色々な物語やニュース記事、書籍などが出てきてしまうので、法律などが知りたい場合は不向きだと思います。
さて、今回のブログはこの辺で終わりになります。
皆様の調べ物は捗ったでしょうか…?
「参考になった!」「実際にどんなふうにこの情報を利用しているか見てみたい!」
という方は、ぜひ当ブログに私の書いた作品が載っておりますのでご覧ください。
それから最後にもうひとつ
情報は、作品にリアリティを足すための手助けにすぎません。創作活動においての正しさとは、事実に基づいていることではなく自分の表現したいものを追求することだと私は思っています。どうかこれを読んでくださったあなたが、情報を知ったうえで素敵な嘘もまじえた自由な作品をつくれることを心から祈っております。
近代ヨーロッパの調べ物についてはまだまだ続きますので、また次の記事でお会いしましょう。
それではまた。
次回掲載予定の記事内容
今回の調べ物で書かれた作品
https://kingyokirakira.com/2024/11/29/akoninohanataba/
その他の筆者の活動をまとめたリットリンク
https://lit.link/kingyohirahira
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