2024/09/24 執筆
明治時代を舞台にした作品を書きたいけど、時代考証とかって難しい?
そんな悩みを抱えている方のご参考になればと思い、私が作品を書いたときに調べたことをまとめてみました。
私自身が小説『思色の打掛』を書く際に、明治時代(1868年から1912年)を舞台に書こうと考えました。とはいえ、私は明治時代の文化に詳しいわけではありませんので、いちいち調べていく必要がありました。
その際に知った「へ~」な事実
例えば明治時代にゴリラはいないから例え話にゴリラはだせないとか……そういったことをつらつらと書いていこうと思います。
同じく明治時代の話を書こうと思っている方の、お役に立てたら幸いです。
※筆者は、付け焼き刃で調べた知識をまとめています。鵜呑みにせず、あくまで調べるきっかけとして使っていただけたらと思います。
※筆者は、創作活動は自由であるべきだと考えています。情報に捕らわれることなく、リアリティを足したい時の手助けとして使ってください。
明治時代の自動車
結論から言うと、明治時代に自動車はギリある。といった感じです。
自動車そのものが世界に誕生したのは日本が江戸時代の頃ですが、日本にはまだまだ入ってきません。
日本に自動車が入ってきたのは1898年(明治31年)です。そこから少しずつ日本に色々な車が入ってくるようになりましたが“普及”というには程遠かったでしょう。
詳しい自動車の歴史は「明治時代 自動車」で調べてみて下さい。
また、Youtubeで「車 最古」などのワードで検索するとかなり古い時代の自動車が走っている姿を見ることが出来ます。走り方や、自動車が出す音の描写などを入れたい場合は参考にすると良いかもしれません。
現在の車と違いとてもうるさいですし、道もあまり舗装されていないところなら相当に揺れたでしょう。
それに、かつての自動車は未発達でエンジントラブルも多く、助手席に乗っている人は本当に助手として走行を補助したようです。様々な部分が現代の自動車と違いますね。
そういった部分も動画を見てみると分かりやすいかもしれません。
洋装の普及
洋服は、けっこう早くから日本に入ってきています。
とはいえ、明治時代では“お金持ちの間でまぁまぁ着られる”程度のもので、田舎の話で登場させるのはリスキーと言えるでしょう。
制服などは洋服も採用されるようになっていましたが、それを普及していると言って良いのかは難しいところ。
また、和装と洋装では着方が違います。
初めて洋服を着る際には手間取ったり間違ったりしてしまうでしょう。反対に、素早く着られるとその人がお金持ちの着る物に対して慣れている、つまりその人もお金持ち、もしくは中々のオシャレさんだと分かる描写になるかもしれません。
難しいのは、洋服のパーツの名前です。
当時の言い方や書き方に寄せて「外套」「洋袴」と書いても読んでいる人はなんのことか分かりづらいかもしれません(コートとズボンのことです)。そこで物語への没入感がストップしてしまうのは惜しい気がしますよね。
割り切ってカタカナを使うか、それをしたくない場合はなんとか単語の前か後に、現代で言うどんな形状のものを指すか違和感なく説明する必要があるでしょう。
とはいえそれで説明的になってもやはり没入感が失われ、しらけてしまいますから工夫は必要です。
こういうところは私自身も難しくて、頑張って頭を捻り続ける必要があるな、と感じています。
平均身長とその表記
身長はダイレクトに「平均身長 明治」と調べればサクッと出てきます。
ただ、今の時代から見ると明治時代の人は低身長、そのまま数字を書いてしまうと読者は、この人は背が低めなのかな、と思ってしまうかも。
特に長身で格好いい設定のキャラクターを書くつもりなのに“皆より背が低くて男前なキャラクター”として認識されてしまうとイメージが変わってしまいます(私はどちらも好きです)。
かといって物語の中で「明治時代の平均身長は~」といきなり書き始めるのも難しい。
そういった場合、明治時代の長さの単位を使ってみるのも一つの手かもしれません。明治時代はまだメートル法は採用されていませんから「尺、寸」で表記されます。
現代の多くの人は「四尺四寸」と言われても何メートル何センチか分からないでしょう。あとは、その前か後に長身であることが伝わる一言を足せば、勝手に背が高いのだと思ってもらえるはずです。
ちなみに、メートルから尺に換算するのも「◯◯センチ 何尺何寸」と検索すれば早見表が出てきます。着物屋さんが分かりやすくまとめてくれているようですね。
気をつけなければいけないのは、時代によって尺の幅が変わること(私も小説を書き終わりこの記事を書くために調べ直している段階で知りました。真っ青)
それから、「〇〇センチ 何尺」というふうに調べてしまうと、検索結果に換算したものがすぐ出てくるのですが小数点であらわされてしまって違和感のある表記になってしまうことです。
着物屋さんの親切な早見表を見るほうが、より正しい表記に近づけるのではないかと思います。
明治時代にゴリラはいない
いかつい人が登場するという表現をするために「熊かゴリラみたいな」という表現をしようとして、カタカナを使うことに違和感を覚えて調べました。
明治時代にゴリラはいません。
正確には、ゴリラという生物は存在していたでしょう。ただ、日本にゴリラという生物がやってきたのは昭和になってからなので、日本で認知されていなかったのです。
ただし、浅草の花屋敷というところで「ゴニラ」という生物が紹介されていたようなのですがそれが現在のゴリラと同一の生物だったのかは分かりません。
『日本怪奇事件史外伝「明治時代の浅草にゴリラがいた?」』という書籍はそれに関して調べているようなので、私は読んでいませんが気になる人は読んでみるといいかもしれません。
真相がどちらにせよ、一般的な生物でないことは明らかなので明治時代の話にゴリラを登場させるのはリスキーと言えるでしょう。
外国人
明治時代には日本国外の人が日本に来ていました。
そこで日本の学生たちに勉強を教えていたようですね。文部科学省のサイトに書いてありました。
(日本の学校制度に関しても、別途調べたのでそれもいずれまとめたいと思います)
物語を書く際に気をつけなければいけないことは、外国人が日本に来ていたのは事実ですが、今より奇異の目で見られた可能性があるということです。
当時の日本人がどのような感覚だったかはもっと詳しい文献を読む必要があると思いますが、現代の日本人ですら外国の人を見ると思わず目が行ってしまう…という人も多いですから、明治時代の人ならそういった感覚はより強くあったのではないでしょうか。
ただ、当時、日本に来る外国人は相当なエリートだったはずですから、単に外国の人というよりは「偉い人、先生、お金持ち」みたいな意識があったかもしれません。
また、現代の日本でも観光地など外国人が多く訪れる地域もありますよね。似たような感じで、明治時代も外国人が多く住んでいる地域があったと思います。そういったところではそれほど珍しがられなかったかもしれません。
従って、物語の中に登場する外国人の居場所によって、その立ち位置を考える必要がありそうです。
初回調べ物ブログで気をつけたこと
これを読んでくださった方も今後、調べたことをブログにまとめることがあるかもしれません。
その時に気をつけてほしいこと(私が今日知ったこと)を少しだけ書いておこうと思います。
人のサイトのURLは勝手に載せてはいけないことがある! ということです。
大手のメーカーが掲載しているサイトなどは下の方に利用規約が書いてあります。私的利用はOKですが公の場に掲載するのはマズかったりするようです。
いちいち調べるのが面倒なら基本的に載せないほうがいいかもしれませんね。
私はひとまず自分の検索ワードを載せることにしました。
もちろん、同じワードを検索しても必ず同じ記事にたどり着けるというわけではないのですが、多少の参考にはなるかな……と思います。
私はまだまだネットに疎く、特にブログをちゃんと書くのは初めてなので自分の知識不足によって他者の権利を侵害することがないように努めていきたいと思います。
今回の明治時代について調べた記事はまだまだ続きますので、気になる方は引き続き読んでくださると嬉しいです。
それから最後にもう一度
情報は、作品にリアリティを足すための手助けにすぎません。創作活動においての正しさとは、事実に基づいていることではなく自分の表現したいものを追求することだと私は思っています。どうかこれを読んでくださったあなたが、情報を知ったうえで素敵な嘘もまじえた自由な作品をつくれることを心から祈っております。
次回掲載予定の記事内容
山祝ってなに?
洗濯物の干し方
メジャーな飲み物、麦湯
実は卓袱台(ちゃぶだい)は普及してない
それではまた、次の記事で。
今回の調べ物で書かれた作品(グロテスクな内容が含まれますご注意下さい)https://kingyokirakira.com/2024/12/12/omoiironoutikake
その他の筆者の活動をまとめたリットリンク
https://lit.link/kingyohirahira
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