情報を集める大切さ:リアリティのある場面、個性的なキャラを書くために

創作に活きる情報

2024/10/05 執筆


自分が体験したことではないけれど、リアリティのある作品を書きたい、でもどうすればいいか分からないと思っていませんか?


そんな悩みを抱えている方の参考になればと思い、私が作品を書いた時に調べたことをまとめながら、場面やキャラクター作りの一例を書いてみました。


私自身が『友達が死んだ話』という話を書く際に、生命についての知識が必要だと思ったのですが、私はちっとも詳しくないので思いつく限りのことを調べていきました。

このブログではその際に知ったことをまとめています。


そして同時に、作品にどのように活かせるか考えたことも書いてみたので、少しでも創作活動をする人の参考に、また創作をしない人も豆知識として楽しんでいただければと思います。

※筆者は、付け焼き刃で調べた知識をまとめています。鵜呑みにせず、あくまで調べるきっかけとして使っていただけたらと思います。
※筆者は、創作活動は自由であるべきだと考えています。情報に捕らわれることなく、リアリティを足したい時の手助けとして使ってください。

出血量と生命維持

人が大怪我をしたり亡くなったりする描写、リアル寄りの作品でもファンタジー作品でも、人の生命に関わる描写が必要になることがあるかと思います。

でも、大怪我をしたりそういう現場に居合わせたりしたという経験がある人はそう多くありませんし、仮に経験があってもその時は冷静に状況を見ている場合ではなく覚えている情報は多くないかもしれません。


では、どうやってその描写を書いたらいいのでしょうか?


表現力をつけるためには五感を意識したらいい

なんていう言説がありますが、私も概ね賛成です。
では、具体的にどのように表現するのか、私なりに例をあげてみました。


まず嗅覚の情報から考えてみましょう。

血液の中には鉄分が多く含まれていて、その名の通り鉄の匂いもある程度します。加えて生き物ですので、生臭さもあるでしょう。そういった成分から想像して匂いを頭の中で作ってみましょう。本当の匂いとは違うかもしれませんが、そうやって考えた匂いはディテールが細かくなって、なんだかリアルっぽい描写に近づけるはずです。

私もそんなに大量の血液を嗅いだことないので本当の匂いは知りません。そしてそれは多くの読者も同じです。できれば本物を知っている人も納得させるリアリティが欲しいところではありますが、表現次第で専門家(お医者さんとか?)も、「本物とはちょっと違うけど引き込まれる描写だな」と物語に面白さを感じてくれるのではないでしょうか。


さて、少し脱線しましたが五感の話に戻ると


触覚──血液に触れた手の感覚、サラサラした血なのか、粘度があるのか、温かいのかなど。


味覚──血飛沫が口に入ってしまった、もしくは自身が吐血しているなら血の味、さらにそれによって吐瀉物などが伴う場合は胃液などの酸による痛みやまぁゲロの味とかがするかもしれません。


聴覚──血溜まりを歩いているならその音。


そして、何より一番必要なのはおそらく視覚情報です。

これについては少し詳しく書きますね。ここまで書いた四つの感覚もそうですが、視覚情報は特に物語にのせやすく重要です。そして、それを書くために必要なのは情報と想像力です。以下に付け焼き刃で調べた知識をまとめてみますね。


人間の体はほとんど水分で出来ている、なんて聞いたことありませんか?

体重の50~60%は水分らしいです。年齢や性別によって水分の割合は変わるのですが、赤ちゃんだともっと水分の割合が多くて、80%が水分なのだとか。チャプチャプですね。

今回は大人の話をしますが、体の水分の中で8%は血液。量で言うと4~5Lです。そしてその中で1L以上の血が失われると死に至る可能性が高まります。


1Lのペットボトルを床にぶちまけたことを想像してみて下さい。かなり水浸しです。そしてそれだけの出血があるということは切れた幅が大きい、または太い血管を傷つけた可能性があります。太い血管とは首や鼠径部(太ももの上の方)が代表的でしょうか。

そして太い血管は勢いよく血液が流れているので、そこを断ち切られてしまうと勢いよく出血するわけです。


蛇口から水道水を流しているところを想像してみると分かりやすいかもしれません。ホースの水などの方がより形状が近くて良いのですが、目視しづらいので今回は蛇口でいきましょう。

ちょろちょろと出しているときに手をいれても、水はちょっと手をつたって横に避けるだけですよね。でも勢いよくジャージャーと出しているところに手をいれるとまわりにバシャバシャ飛び散ります。水圧が強いほど激しいということです。

(※ちなみに水圧が強い、というと勢いを指し、水圧が大きいというと水深などの影響でかかる圧力の説明になるようです。今回は勢いの話)


そしてこれが血管だと考えると、水圧は血圧に置き換わります。つまり勢いよく流れている血管を断ち切ってしまうと飛び出した血液もすさまじい勢いとなり、それを制御するのはなかなか難しいのです。


そういうわけで、物語に書く際、医療ものであればもっと詳細な情報が必要かと思いますが、単に事件に巻き込まれたとか、出血を見ている立場の人、または出血している本人が一般の人である場合、傷が大きい、血が勢いよく吹き出していると書けば出血が多く命の危険があることは想像がつくはずです。


あとは書きながら、1L以上の血液が辺り一面に飛び散ったり流れ出したりしていたらどんなことになるかな、ということを考えながら書くと、だいたい良い感じの視覚情報を表現することが出来るのではないでしょうか。


無理に全ての五感の情報をいれる必要は全くありません。

むしろ、どの情報を優先していれるのか、状況やキャラクターの性質を考えながら書くことで、より個性的な作品になっていくように思います。

お墓の供え物

キャラクターのエピソードを考える時に、好きな人物の好きなシーンを思い起こすことがあります。


もちろんそのまま使ったら著作権の問題が出てきますので、例えオマージュ(敬意を持って元の作品を取り入れながら自分なりに表現すること)のつもりであっても、はたからみればただのパクリになってしまう危険があります。

そうならないために必要なのは情報を収集することではないかと私は考えています。


私の好きな織田信長から着想を得た例を紹介します。

(織田信長の場合は著作権がないのでそのまま使っても良いのですが……今回はあくまで例として出します)

織田信長が父親の葬儀で位牌に向かって抹香を投げつけたというエピソードがあります。
抹香というのは、線香の粉バーションと考えていただくと分かりやすいでしょうか。本来は小鉢のようなものに入っている抹香をひとつまみ取り、隣の香炉に落とすのですが(細かい作法は今回省きます)信長はそれを投げつけたというわけです。

信長が「うつけ(馬鹿者)」と呼ばれるエピソードの一つで、理由は色々と説があるようですが本当のことは誰も知りません。


私はこれに対して、そもそもなぜお葬式で線香や焼香をするのだろうと思って調べてみました。

宗派にもよるかと思いますが、理由としては生きている人間の身を清めるということ、また亡くなった人は、ご飯は食べられませんが、変わりに香りを食べると考えられるようです。


織田信長のエピソードと、香りを食べるといった情報から、私はむくむくと想像力を働かせ“香りなんか食べられるわけがない、そんなのは残された者の自己満足に過ぎない”と考えるキャラクターをつくりました。

彼女は友人を失ったことを受け入れられず、周りの人間の弔い方に反発しています。結果として他者とは異なる故人への悼み方をする人間像が出来上がって行くわけです。まぁ最終的に彼女は“死者は、香りは食わない、物も言わない。ただ死んでどこにもいなくなった”という考えを貫き、かなり過激な行動に出るのですがそれはおいといて。


このようにしていくつかの情報を集めることで少し個性的かつリアリティのあるキャラクターを作りやすくなるかもしれません。

私の考えたキャラクターはあくまで一例に過ぎませんが、情報を集めてそれを自分の中で咀嚼し、ある程度の一貫性を持たせて(なにかモデルがあったほうが、一貫性が持たせやすい気がします)キャラクターを作ると、生き生きとした人物がつくれるのではないでしょうか。

さて、今回のブログはこの辺で終わりになります。

皆様の調べ物は捗ったでしょうか…?

「参考になった!」「実際にどんなふうにこの情報を利用しているか見てみたい!」
という方は、ぜひ当ブログに私の書いた作品が載っておりますのでご覧ください。


よろしければ他にも、色々な調べ物をまとめながら作品への描き方を書いた記事や、自作品の一覧、自作品の解説記事なども出していますのでご覧になって下さい。それではまた。


次回掲載予定の記事内容

今回の調べ物で書かれた作品
https://kingyokirakira.com/2024/11/26/tomodachigashindahanashi/

その他筆者の活動をまとめたリットリンク
https://lit.link/kingyohirahira

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