執筆 2024/10/05
近代ヨーロッパ(18世紀末~20世紀前半/1700年(?) ~1945年くらい/江戸時代~昭和くらいまで)について書きたいけど何から調べればいいか分からないと思っていませんか?
そんな悩みを抱えている方の参考になればと思い、私が作品を書いた時に調べたことをまとめてみました。
作品にどのように活かせるか考えたことも書いてみたので、少しでも創作活動をする人の参考に、また創作をする予定がない人も豆知識として楽しんでいただければと思います。
私自身が小説『アコニの花束』を書く際に調べたことをまとめています。
本記事の掲載単語は作品登場順となっていますが、目次から気になる単語へ飛ぶことができますのでご活用下さい。
※この記事は付け焼き刃で調べた知識をまとめたものです。鵜呑みにせず、あくまで調べるきっかけとして使っていただけたらと思います。
※筆者は、創作活動は自由であるべきだと考えています。情報に捕らわれることなく、リアリティを足したい時の手助けとして使ってください。
トリカブト
トリカブトという植物に毒があることはご存知でしょうか?
漫画や小説で毒のある植物の代名詞として度々出てくる気もします。
漢字で書くと鳥兜、いさましいですが、毒を持っているというイメージが先行してストーリーに影響を与えてしまう恐れがあったため、私はフランス語名である「アコニ」を使うことにしました。
他にも、様々な別名があるようですね。ストーリー上、トリカブトを使いたいけど、今はまだ有毒植物だと読者に知られたくない(一部の植物に詳しい人だけ気づく伏線にしたい)なんて時は、別名を探してみるのもいいでしょう。
もっと無名な有毒植物を使うことも出来ますが、その場合、それが有毒であることを伝わるように書く必要が出てきます。
トリカブトならそういった説明を省いても名前を明かすだけで伝わりやすいですからね(わざわざ別名を明かすシーンを作るのと、有毒である説明とどちらが難しいかは場面しだい……)。
ちなみに、トリカブトの毒は根っこに多く含まれています。
他の部分にも毒はあるのですが、一番強い毒性を持つのは根っこなのです。トリカブトに限らず球根系の植物は毒があるものが多いですが、それらもやはり根っこに毒があります。
創作で使いたくなるものでいうと百合や鈴蘭などがそれに当てはまります。
また、有毒植物をいけていた花瓶の水にも有毒物質が溶け出して間違って飲んでしまうと体調不良になる場合があります。
少し飲んだくらいで死んでしまうということは無いですが、猫などの小型の動物や赤ん坊、体の弱い方などは命に関わるかも知れません。
これは普通に日常生活でも気をつけたほうがいいことですね。
創作する際には、毒をうまく使いつつ、過信しすぎないようにすることも必要かもしれません。
そんな簡単には死にません。
あらかじめ免疫力が低い状態だったり、他の薬を服用していたりして飲み合わせが悪かった……など、植物で美しい殺人事件を作るための下準備をしておくと良いでしょう。
そして、創作をする際に皆さん気にするのはやはり花言葉じゃないでしょうか。
作中では明言しないけれど、キャラクターの名前やモチーフとなる花に意味を込めてこっそり性格や運命を示唆する。考えるのが楽しいですよね。
ただ、花言葉は国によって、また本によっても随分意味が違うことがあります。本による違いまでは知ったこっちゃないという感じですが、これが調べてみると意外と面白いのです。違いが出る理由には、花言葉の由来が関係することも多いからです。
トリカブトの花言葉は
毒を持っていて昔から暗殺に使われることもあったり、ギリシャ神話に登場する地獄の番犬ケルベロスのヨダレから生まれたと言われていたり、怖い話にまつわり「復讐」という花言葉があります。
しかしそれ以外にも
騎士の兜に花の形が似ていることから「騎士道」「栄光」など輝かしい花言葉も。ちなみに、同じ兜でも日本では雅楽奏者の身につける鳥兜に形が似ているからこの名前がついたそうです。
他にも修道士の頭巾に似ているから「厭世的(人生を悲観する様子)」という花言葉もつけられています。
見た目由来のものとストーリー由来のものがあるようですね。
他の花だと、色によっても随分意味が変わることもあるので、薔薇や百合を使う時は調べてみると良いと思います。
万年筆っていつからあるの?
昔のヨーロッパでは羊皮紙に羽ペンで書いていた、というイメージがある人は多いと思います。
イギリスを舞台にした魔法使いのお話『ハリー・ポッター』シリーズにも羊皮紙に羽ペンで書く描写が登場しています。でも、今は羽ペンを使っている人はあまり見かけませんよね。
ではいつの時代から切り替わったのでしょうか。
「万年筆の歴史」と検索すると筆記具について詳細にまとめられている年表が出てきます。とても分かりやすいのでおすすめです。
どうも羽ペンが使われていたのは18世紀(~1800年)ごろまでのようです。
つまり、近世の最初期では使っている人もいたのでしょう。しかし18世紀後半(1733年頃)から産業革命がおこり様々なものが便利に、均一化されていきます。
羽ペンも、先端が消耗しやすく便利さに欠けたため金属製の先端が生み出されました。しかしすぐに取って代わられたわけではなく、開発初期の金属製の先端はするどすぎて紙を破いてしまうため、しばらくは羽ペンが使われていたようです。
現在使われている万年筆の原型が出来たのは1809年(19世紀初期)ですから、近代ヨーロッパではある程度認知されていたと考えてよいでしょう。もちろん地域によって使われていたかどうかは変わってきますが、少なくとも都市部では見かけることは多かったはずです。
このあと、どんどん万年筆の開発は進み、便利になっていきます。
現代でもヨーロッパでは万年筆は普通に使われています。
日本だとなんだかんだ正式な書類でもボールペンの方が便利でよく使われていて、万年筆を使う機会はなかなか無いですが、それでも贈り物として選ばれることもあり、ちょっとした大人の証みたいなイメージがありますよね。
近代ヨーロッパで万年筆が贈り物として定着していたかどうかは分かりませんが、お高い筆記具を大事な人に送ることはあったのではないでしょうか。
さて、今回のブログはこの辺で終わりになります。
皆様の調べ物は捗ったでしょうか?
「参考になった!」「実際にどんなふうにこの情報を利用しているか見てみたい!」
という方は、ぜひ下記URLに私の書いた作品が載っておりますのでご覧ください。
近代ヨーロッパの調べ物についてはまだまだ続きますので、次の記事でお会いしましょう。
それではまた
次回掲載予定の記事内容
官憲、警察組織を書くために
夢の正体
今回の調べ物で書かれた作品(センシティブな内容が含まれますご注意下さい)
https://kingyokirakira.com/2024/11/29/akoninohanataba/
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